テントサウナが全国で普及していく中で、運営現場では長らく「制度が追いつかない状態」が続いていました。私たち madsaunist も、数々のイベントで消防や保健所の検査を受けてきましたが、その中で直面してきたのは「自治体ごとに全く違う判断基準」と「現場実務とかけ離れた指導」でした。
イベント前日、準備がすべて整ったタイミングで、
「ストーブ周りを耐火レンガで囲ってください」と突然指示されることもありました。
費用も労力も当日対応としては破綻しており、それでもイベントを成立させるために、私たちは夜通し対応し続けることもあったのです。
別の地域では「消火器1本でOK」だった設備が、別の地域では「遮断装置がないから危険」と評価されるなど、判断は完全にバラバラでした。テントサウナがどの法律のどのカテゴリに入るのかが明確でなかったことが、こうした混乱の原因でした。
今回の火災予防条例(例)の改正は、まさにこうした現場の実態を踏まえた制度整理です。行政が現場にようやく追いついた、と言ってよい内容になっています。
(参考:総務省消防庁「改正火災予防条例(例)の運用等について」通知)
なぜ今回、条例は改正されたのか
総務省消防庁の通知には、改正の背景として、次のような点が示されています。
一つは、屋内サウナとは全く異なる特性をもつ簡易サウナ(テントサウナ)が急増したことです。もう一つは、自治体ごとに運用が異なり、現場で混乱が起きていたことです。
簡単に言えば、「従来の屋内サウナ基準を屋外テントサウナに当てはめるのは無理がある」という認識が行政でも共有され、制度的な見直しが必要になった、ということです。
改正で緩和されたポイント
「簡易サウナ設備」という新しいカテゴリが誕生
これまでテントサウナは、屋内サウナと同じ基準で扱われることが多く、現場では無理のある運用が行われていました。今回の改正では、テントサウナを含む屋外のサウナ設備が「簡易サウナ設備」として整理され、屋内サウナとは別の枠で扱われるようになりました。
これにより、屋内向けの厳格な構造基準が、そのままテントサウナに強引に適用されるような不合理が減ることが期待されます。
薪ストーブの「熱源遮断装置」問題が解消
屋内サウナでは、熱源を遮断する装置(手動・自動)が求められることが一般的ですが、薪ストーブは構造上、こうした装置を組み込みにくいという問題があります。そのため、自治体によっては「遮断装置がない=危険」と判断され、実質的に使用を否定されるようなケースもありました。
今回の改正では、熱源遮断装置の代わりに「消火器を設置することで代替とみなす」ことが明示されました。これにより、薪ストーブ型テントサウナの合法的な運用が現実的なものになっています。
個人使用なら届出不要に
「個人が私生活のために設ける簡易サウナ設備」については、設置の届出が不要であることが明確に整理されました。一方で、同じ個人であっても事業として利用する場合には届出が必要です。
この線引きが言語化されたことで、利用者側・事業者側ともに手続きの見通しが立てやすくなりました。
単独設置なら公衆浴場扱いではなく「その他の事業場」
用途区分の整理により、テントサウナを単独で設置する場合は、原則として「その他の事業場」として扱われることになりました。従来のように、テントサウナを置いただけで直ちに「公衆浴場法の対象」とされる可能性は下がります。
これは、公衆浴場法の構造基準をそのままテントサウナに適用しようとしていた現場の歪みを減らすという意味で、非常に大きな前進です。
逆に、強化されたポイントもある
屋上設置は「多量の火気を使用する場所」扱い
一方で、全てが緩くなったわけではありません。特に重要なのが、屋上に設置する場合です。
簡易サウナ設備を建物の屋上などに設置する場合、その部分は「その他多量の火気を使用する場所」として扱われると通知で明記されています。これは、地上設置に比べて、火気管理や消火設備の要求水準が一段階上がることを意味します。
専用の消火器を設置する必要性が高まり、風による転倒防止、煙突の固定強度、可燃物との離隔などについて、より厳密な安全対策が求められることになります。都市部のビル屋上での運用を検討している場合、この点を理解しておかないと、計画の段階で行き詰まる可能性が高いと言えます。
制度が整っても、安全性は事業者の設計次第で変わる
今回の改正によって、テントサウナの導入は以前よりも「制度上は」やりやすくなりました。しかし、安全性そのものは法令の文言だけで担保されるものではありません。
テントサウナは、火気、風、熱、狭い空間など、複数のリスクが重なる設備です。どのようなストーブを使うか、どのような固定方法を採用するか、どのような動線設計にするかといった具体的な設計判断の積み重ねによって、安全性は大きく変わります。
言い換えれば、「安全なテントサウナかどうか」は、製品そのものの設計思想と、現場に落とし込むノウハウで決まるということです。
madsaunist が積み重ねてきた安全技術
私たち madsaunist は、全国各地で消防・保健所と実際に交渉し、公衆浴場法、消防法、各種イベント許可を取得してきました。その中で、テントサウナの安全性を左右する要素を一つずつ解析し、改良してきました。
特に、ストーブ周りの安全設計、強風対策、煙突固定方法といった領域では、独自の技術とノウハウを蓄積しています。
独自開発のストーブガード
テントサウナ内部は空間が限られています。ストーブ周囲の離隔距離を大きく取りすぎると、快適性や定員に直接悪影響が出ます。その一方で、安全性の観点からは、ストーブ本体への接触は徹底的に防ぐ必要があります。
私たちはこの矛盾を解消するために、ストーブ周囲の離隔距離をできる限り小さくしながら、安全性を確保する仕組みを独自に開発してきました。私たちのストーブガードは、利用者がストーブ本体に触れられないように動線と構造を設計しつつ、万一ガード表面に接触した場合でも火傷が起こりにくい表面温度になるよう、素材と構造を最適化しています。
この独自のストーブガード設計によって、テントサウナ特有のコンパクトな空間であっても十分な安全性を確保し、限られた内部スペースを最大限活用できるようにしています。
強風対策と設置面の検証
テントサウナは風の影響を強く受けます。私たちは、設置場所ごとの地面の構造(砂利、土、芝、コンクリート、ウッドデッキなど)に着目し、それぞれに適した固定方法を検証してきました。
アンカーの深さや角度、風向とテント構造の関係、荷重の分散、強風時に使用を停止すべきラインなどを総合的に評価し、実際の現場で倒壊や転倒のリスクを抑え込むための運用基準を構築しています。
煙突固定の検証
煙突は風による揺れや倒壊リスクが大きい部分です。私たちは複数の固定方式をテストし、現場条件に応じて最適な方式を選べるようにしています。これにより、風の強い場所や屋上など、より厳しい条件下でも、安全側に倒した設計と運用を行うことが可能になります。
まとめ──制度改正は追い風だが、安全は経験でしか担保できない
今回の火災予防条例改正は、テントサウナの導入にとって大きな追い風です。簡易サウナ設備というカテゴリが整備され、薪ストーブの扱いも現実的になり、用途区分も整理されました。
しかし、実際の安全性や許認可の通りやすさは、単なる製品選びだけでは決まりません。テントサウナは、「どの製品を選ぶか」よりもむしろ、「どの事業者が安全を設計できるか」で結果が大きく変わる設備です。
もしあなたが、
安全に、合法的に、確実に許可が取れ、利用者に「最高の気持ちよさ」を提供できるテントサウナを導入したいのであれば、madsaunist に相談してください。
今回の制度改正が整備される以前から、私たちは現場でその基準を先取りし、自ら検証し、改善し続けてきました。その経験は、そのままあなたの事業のリスク低減と価値向上につながります。
あなたのサウナ事業が、安全で、長く愛される存在になるよう、madsaunist はそのすべての経験と技術を提供します。
