(99%)無煙テントサウナの開発と未来
2022年3月19-21日、26-27日の計5日間限定で、ホテルニューオータニ敷地内にあるアウトドアプール「GARDEN POOL」にて「GARDEN SAUNA」が実施されました。前回はNAKED,INC.様とのコラボレーションで話題となり、その際にはストーンタワーガードを一部協賛提供させていただきました。今回はテントサウナのオーダーメイドセッティングから熱源管理に至るまでご依頼いただき、僭越ながらフル監修致しました。
ホテルニューオータニにおける施設の構造上、「GARDEN POOL」に隣接する場所にも館内全域に新鮮な空気を行き届かせるための吸気を担う吸気口が設置されています。前回の経験を踏まえ、極限まで煙の排出と煙の臭いを抑え実施をされたいというご意向がありました。プールの横に位置する『芙蓉の間』は結婚披露宴でも利用されるホテル内最大級の宴会場でもあり、煙及びその臭いは極力抑えなければなりません。
そこで、madsaunistとして“無煙テントサウナ”を実現すべく薪を一切使用しないテントサウナを実現するために動き始めました。
薪はどうしても乾燥具合や含水率にバラつきがあり、炉内が温まった状態の追加投入であっても煙の排出リスクがあります。(テントサウナーならば容易に想像がつくと思います。)よって今回は含水率が一定かつ長時間燃焼可能で、臭いも薪に比べて少ないバイオコークス(商品名:バイオフレア)を燃料として使用することにしました。バイオコークスのテントサウナ利用に関しては世界一長けていると自負していますが、課題は焚き付けの悪さであり、madsaunistにとってもチャレンジングなオーダー内容でした。
これまでの知見を集大成させ、燃焼実験を行いながら、焚き付けの悪いバイオコークスを『IESAUNA(大親友のブランド)』が主用で展開しているバイオエタノール燃料で焚き付けすることとし、バイオエタノール燃料の使用量、特注のロストル製作、バイオコークスの投入量・投入頻度の最適解を導き出し、ほぼ完全無煙のテントサウナを実現しました。
バイオフレア生産工場|滋賀バイオマス様敷地内にて燃焼実験
morzh2windowのセッティングも担当し、足元の低温問題も解決したため、温度計は振り切れ、テントのドアを開けて入るぐらいが丁度よいという高温セッティングを実現し、ストーンタワーガードを併用することで、超高湿度の施設でも体験できない快適サウナ体験を提供致しました。
今回のバイオコークスは開発者であられます近畿大学 井田民男教授をはじめとしたバイオコークス研究所様よりご提供いただき、先日無事報告会を終えましたが、バイオコークスに関わる人達が皆共通の課題と目標を持っていることに感銘を受け、バイオコークスという新たな技術を広げていく一端を担えることを光栄に思いました。今回のイベントのきっかけとしてホテルニューオータニ様では近畿大学と共同で食物残渣を用いたバイオコークスの開発を前向きに検討していくとのことでした。
ほぼ無煙状態からロウリュ時の様子
最後に今回我々が開発した“madsaunist(ほぼ)完全無煙テントサウナ”の利点を列挙します。
- 煙の排出が焚き付けから終始ほとんどない。臭いも薪に比べて少ない。
- 焚き付け時に労力が不要
- バイオコークスの長時間燃焼のおかげで薪の追加頻度が一定かつ少なく、管理が楽
- カーボンニュートラル且つSDGsの文脈に沿っている
この技術は誰でも簡単にできるものではないですが、我々が伝え、広めていくべき技術であると感じています。横で婚礼の宴会を行えるほど煙の排出を抑えたテントサウナは、都会やこれまで薪ストーブを使用できなかった場所で気軽にテントサウナを楽しめるようになり、電気ストーブを検討していた方々の新たな選択肢となり得ると思います。
またイベンターにとってテントサウナの薪管理は、最もマンパワーを消費する部分であり、焚き付けから薪管理までが非常に簡便なことはもう一つの魅力であると考えます。
重複致しますが、本技術はリゾート施設や自然の中、都会のど真ん中など排煙を嫌う環境が候補に入るポテンシャルを秘めています。madsaunistが有する空間の総合演出技術と極上のととのい体験を実現するコンテンツ提案を加え多様な場所で提供していけたらと考えております。
ご関心のある方は気兼ねなくお問い合わせください。
■バイオフレア購入
https://madsaunist.com/product
special thanks
近畿大学
TANNY(SAUNAGER)
HUKKA DESIGN / Osmia
滋賀バイオマス
齋庄インターナショナル
金の森山荘
IESAUNA