ととのうために大切な心拍数のお話

ととのうとは『アドレナリン/ノルアドレナリンなどのストレスホルモンが分泌されているのに、副交感神経が優位な状態』と現時点では定義されています。

つまり、いかにストレスホルモンを分泌している状態で、リラックスしている状態になれるかがととのうためには大切です。では、どのような状態のときにアドレナリン/ノルアドレナリンがより分泌されるのでしょうか。安全にサウナを楽しむという観点を基本的な考え方とした上で考察してみましょう。(これは非常に大事な視点です!!)

まずは、運動強度の設定方法について説明します。

運動強度は各個人が体内に取り込むことができる最大の酸素量=最大酸素摂取量(VO2Max)に対する相対値(%VO2Max)で設定されます。(60%VO2Maxの運動などと言います)徐々に運動強度を増加させていくような運動の場合、最大強度以下の運動強度であれば、心拍数と酸素摂取量との間には比例関係があり、最大酸素摂取量に対する相対値(%VO2Max)は予備心拍数(最大心拍数-安静時心拍数)に対する相対値に等しいことが明らかになっているため、実際には心拍数を用いて運動強度を決定します。

ではアドレナリン/ノルアドレナリン分泌と運動強度の関係はどうでしょうか。運動強度や刺激が増えることでストレスホルモンの分泌は増加していきます。この増加曲線は直線的ではなく、指数関数な曲線になると言われています。長くなるので割愛しますが、結論からのべると50-70%VO2Maxぐらいの運動からアドレナリン、ノルアドレナリンの分泌は急激に増加すると言われています。このぐらいの運動強度でサウナに入浴することがととのうために必要なアドレナリン/ノルアドレナリンの分泌を促すことになりそうです。

では実際、心拍数がいくつぐらいの状態が50-70%VO2Maxの運動なのかを計算してみましょう。計算にKarvonen法を用います。

目標心拍数=予備心拍数(最大心拍数-安静時心拍数)×運動強度(%)+安静時心拍数

最大心拍数の計算方法はいくつかあるのですが、ここでは簡易的に220-年齢で計算します。すなわち、50-70%運動強度のサウナ入浴の目標心拍数は、

目標心拍数≒(220-年齢-安静時心拍数)×0.5~0.7+安静時心拍数

それでは皆様の安静時心拍数(30分間安静坐位保持後に測定した心拍数)を測ってみてください。例として30歳/安静時心拍数50で120~148、50歳/安静時心拍数50で110~134です。

このように同じ安静時心拍数の人でも年齢によって、心拍数に対する運動強度は全く異なります。また、心臓疾患等をお持ちの場合、心拍数が高いほどより心臓に負担がかかる=運動強度は高くなる傾向にあるため、50-70%の運動強度での目標心拍数は更に低くなります。逆にマラソンランナーなどのアスリートの方では、安静時心拍数がもっと低い方もいて、そのような方の目標心拍数は高くなります。人によって目標心拍数がこれだけ異なるのに、昨今見受けられる過激な熱波サービスを一様に受けても安全と言い切れますか? サウナ室内に何分入ったか、何分いられるか、というような考え方がどれだけ無意味なものかわかっていただけるかと思います。

運動強度を上げれば、ストレスホルモンの分泌も上がるのは言わずもがなですが、そのために全力疾走したようなサウナ入浴をすることは非常に危険です。ととのうことを求めすぎるがあまり無理をしないようにしましょう。ととのいを追い求めすぎる行為は非常に危険であることをもっと皆さんに認知してほしいと思っています。

最近では心拍数を表示できるスマートウォッチなどもたくさん販売されていますが、サウナ室内には12分計があることが多いので、20秒間の心拍回数を測定して、3倍することで心拍数を求めることができます。簡単なのでやってみてください。サウナ室内で自分の脈拍をとっている人がいたら、madsaunistかもしれません。