サウナストーンは地球からの贈り物

当レーベルで取り扱い中のサウナストーンについて解説します。

サウナストーンの役割としては

  • 石の内部に熱を蓄熱してサウナ内にゆっくりと温度を届ける。
  • 適度な湿度を届ける の二つがあります。

石としては、固く、重く、表面が粗い石が良いとされています。密度が高いほど蓄熱性が優れ、内部に水分を含まず、爆ぜる危険がないからです。表面が粗いと、細かな凹凸により表面積が広くなり、水分が蒸発しやすくなり、適度な湿度を届けるのに貢献します。

火成岩は、マグマが冷え固まってできた岩石で、地上もしくは比較的浅い地下で固まった火山岩と、地下深い所で固まった深成岩に大別されます。地下深い所で固まった岩石のほうが固く密度が高くなる傾向にあるため、深成岩がサウナストーンに適すると考えられています。この傾向から考えると、よりいっそう最適な岩石が一つだけあります。

それは、地球の深部マントルを構成する“かんらん岩”です。地球の最も深いところで形成された深成岩が最も硬く、密度が高い石だからです。

通常かんらん岩はマントルを構成しているため地表に産出することは稀です。マントル岩石学の論文などによれば、地中から隆起する過程で、海水などの水分とかんらん岩が反応する蛇紋岩化作用が起こり、かんらん岩が蛇紋岩に変性してしまうため、かんらん石成分を豊富に含むかんらん岩が採掘できる場所は世界的にみても限られるのです。一方で蛇紋岩は地表に多数発見され、アスベストなどを含み、トンネル工事などでは難工事になるなど邪魔者扱いされています。(蛇紋岩の分布を調べることで地表の隆起などの手がかりになるなど、マントル岩石学の世界では近年注目されている)

フィンランドでこのかんらん岩はolivine diabaseと呼ばれ、サウナストーンとして非常にポピュラーな石です。フィンランド地質調査研究所(Geologian tutkimuskeskus GTK)という国立の研究期間が、フィンランドの地質調査を行っており、このかんらん岩の成分も公表されています。その中でもマンチュハルユのかんらん岩(Mäntyharju Oliviinikivi)は物質、鉱物の組成の観点からサウナストーンに最適であるとされています。このかんらん岩はPlagioclase(斜長石)の割合が20%以下でolivine diabaseと比較しても、かんらん石の割合が70%前後と非常に高く、サウナストーンとしてより優れていると考えられています。

現在国内でかんらん岩が採掘できる場所は数か所ありますが、中にはかんらん石(olivine)の割合が高くないもの、蛇紋岩をかんらん岩としているものもあり注意が必要です。(岩石学的にみても、かんらん岩と蛇紋岩は近接して採掘されるため)厳密にいえば天然物であり、かんらん岩と蛇紋岩が入り混じっているものも多く存在することになります。また、フィンランドのような国立の調査機関もないため、どこからがかんらん岩でどこからが蛇紋岩かという、一定の定義がない状態なのです。

今回、madsaunistは国内中を探して、このかんらん石の割合が非常に高いかんらん岩を発見し、サウナストーンとして取り扱うことになりました。当ブランドが取り扱うかんらん岩は、かんらん石の割合が90%以上のかんらん岩ですので、前述したマンチュハルユの物よりもかんらん石の割合が高く、長石やその他の含有成分が圧倒的に少ないものとなっており、世界的にみても非常に質の高いかんらん岩であると自負しています。フィンランドではかんらん石成分の割合が高い程よいサウナストーンとされ、前述のマルチュハルユのかんらん岩がサウナストーンとして重宝されています。

弊レーベルのかんらん岩は1000-1200℃に燃焼した際の岩石の減少量(Ig,Loss)も1-2%という非常に優秀なかんらん岩です。(高温燃焼によって発生する気体成分がほとんどないということ)このサウナストーンは採掘現場でサンプリング採掘を行ってかんらん石の割合が前述の基準を満たす部分を採掘しており、高度に品質管理されています。真比重  3.1~3.2、耐火度試験にてsk35(溶倒温度1770℃)、新モース硬度8というサウナストーンとして優れた物性を有しています。

100%のかんらん石はペリドットと言われ緑色に光り輝く宝石として認知されています。当ブランドのサウナストーンをよく見ると緑に輝くペリドットの欠片が肉眼で確認できるほどかんらん石の割合が高いです。まだ見ぬ地球の内部は緑色にキラキラと輝く宝石のようなのかもしれませんね。マントルに想いをはせながら今日もサウナストーンにlöylyを楽しんでいるmadsaunistでした。